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山形さくらんぼ150年の歴史

明治初頭、10種のくだものの苗が山形県庁敷地内に植えられ始まった県の果樹栽培。ここではさくらんぼづくりに一途に打ち込んだ先駆者たちの挑戦の歴史を振り返ります。


1927年(昭和2年):佐藤栄助氏(右)が開墾した果樹園ヤマキ(八に木)農場

1868年(明治元年)

函館在住のドイツ人・ガルトネルが渡島国亀田郡七重村(現北海道亀田郡七飯町)にさくらんぼ等の外国品種の果樹を試植(国内のさくらんぼ栽培の初め)。


    ガルトネル肖像

1875年(明治8年)

山形県(旧)では果樹10種等を県庁構内に試植(うち、さくらんぼ3本)。置賜県では果樹12種を県内に試植(同2本)。

1876年(明治9年)

8月、旧山形県、置賜県、鶴岡県(現庄内地域)が合併し、現在の山形県が誕生。

初代県令・三島通庸が北海道開拓庁長官・黒田清隆を通じて外国品種のりんご、ぶどう、さくらんぼの苗木300本を求め、山形市香澄町に試植。

県勧業寮から苗木が分配され、米沢市館山の農家屋敷内にさくらんぼとりんごが試植。

同 東置賜郡の勧業試験場(現高畠町)にさくらんぼ、西洋なし、ぶどう、りんごが試植。

同 東根市板垣新田の勧業試験場に、りんごやさくらんぼの苗木が試作。

同 村山市袖先地区の勧業試験場に、さくらんぼとりんごが試植。

寒河江市では、井上勘兵衛が北海道よりさくらんぼ36品種を導入し、自宅の畑に植栽。


      三島通陽

1878年(明治11年)

県は、勧業試験場千歳園(現・県立山形東高校敷地)を設置(8月)。

勧業寮から払い下げられた1,000本余りの西洋果樹を千歳園に試植(うち、さくらんぼ98本)。


千歳園

1908年(明治41年)

新たに1.2haの試験園(山形市三日町)を設置し、農商務省の補助金を受け山形県農事試験場においてさくらんぼの品種試験を実施。

フランス種14品種、アメリカ種26品種など51品種について試験。


山形県農事試験場

1910年(明治43年)

6月、山形県農事試験場で日本園芸会主催の第1回「桜桃名称一定会」を開催。

主要品種に和名(協定名称)を付す(例:ロックポート・ビガローから高砂へ)。


桜桃名称一定会

1912年(大正元年)

東根市の佐藤栄助氏、「佐藤錦」の育成を始める。


      佐藤栄助

1913年(大正2年)

山形県農事試験場でさくらんぼの缶詰や瓶詰などの加工製造の試験を開始。


井上官兵衛の桜桃缶詰のラベル 缶詰工場の様子

1919年(大正8年)

山形県農事試験場の桜桃缶詰加工試験の製品を東京三越呉服店に陳列、好評を得る。

  
缶詰のラベル

1945年(昭和20年)

山形県農事試験場でさくらんぼの栽培特性の調査を開始(1949年まで)。

本県での栽培に適する品種として「日の出」「ジャボレー」「黄玉」「ナポレオン」「高砂」「佐藤錦」を選定。


佐藤錦            ナポレオン

1956年(昭和31年)

本県のさくらんぼ収穫量が戦前の最高記録を上回る。

1959年(昭和34年)

栽培面積が戦前の最高記録(昭和16:497ha)を上回る(全国1位)。

1965年(昭和40年)

山形県立園芸試験場(寒河江市)を設置。

1973年(昭和48年)

生食向けさくらんぼの生産拡大による労働力不足と雨よけ施設の普及を背景に寒河江市に観光さくらんぼ園が開園

第1次オイルショックの影響で、缶詰の業務用需要が縮減し、加工向け価格が暴落。


観光さくらんぼ園

1974年頃(昭和49年)

この頃から本県さくらんぼの生食向けの比率が高まる。
昭和45年生食向け2,290t(22.9%)加工向け7,700t(77.1%)
昭和55年生食向け6,330t(62.1%)加工向け3,863t(37.9%)

1983年(昭和58年)

さくらんぼが史上最高の大豊作を記録(収穫量20,400tで全国の約85%)。

1988年(昭和63年)

佐藤錦の栽培面積がナポレオンを抜き最大となる。佐藤錦798ha、ナポレオン677ha、計1,660haで全国の約61%(収穫量は14,600tで全国の約79%)。

1991年(平成3年)

1979年に佐藤錦と天香錦を交配して誕生した「紅秀峰」が品種登録される。


紅秀峰

2008年(平成20年)

本県のさくらんぼの栽培面積が過去最大となる(栽培面積3,180haで全国の約61%。収穫量は10,700tで全国の約71%)。

2018年(平成30年)

本県のさくらんぼの産出額が過去最大となる(産出額374億円で全国の約83%)。

2020年(令和2年)

大玉新品種「やまがた紅王(品種名:山形C12号)」が品種登録される(1997年に交配。20年かけて品種育成を行い2017年に品種登録出願)。※「やまがた紅王」は登録商標。


やまがた紅王(品種名:山形C12号)

2022年(令和4年)

知名度向上とPRのため、「やまがた紅王」が少量先行販売される。

2023年(令和5年)

大玉新品種「やまがた紅王」本格デビュー。記念すべき第1回大玉コンテストの優勝果重は1粒18.1g。

2024年(令和6年)

「やまがた紅王」本格デビュー2年目。

第2回大玉コンテスト優勝果実の「やまがた紅王プレミアム」は10粒1万5千円で販売。

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